2. アミロイドーシスとは、
どのような病気?
アミロイドーシスは、アミロイドと呼ばれるナイロンに似た線維状の異常タンパク質が、全身のさまざまな臓器に沈着することで機能障害を起こす病気の総称です。アミロイドのもととなる異常タンパク質は、今、わかっているところで36種類ほどあります。アミロイドーシスは、複数の臓器に沈着する「全身性アミロイドーシス」と、特定の臓器に限局して沈着する「限局性アミロイドーシス」に分類されます11)。アミロイドの沈着する部位は、心臓、声帯、消化器、神経、肝臓、脾臓、腎臓など多臓器にわたり、症状は沈着するタンパク質の種類や臓器によって異なります(図2)12)。
11)p.9.日本循環器学会.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.
[https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kitaoka.pdf]
12)p.21.日本循環器学会.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.
[https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kitaoka.pdf]
図2< 各臓器における
アミロイドーシスによる症状 >
(p.21.日本循環器学会.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.
[https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kitaoka.pdf]より作成)
●【全身性アミロイドーシス】
全身性アミロイドーシスは、遺伝性と非遺伝性に大別されます。遺伝性にはATTRvアミロイドーシス、非遺伝性にはALアミロイドーシス、ATTRwtアミロイドーシス、AAアミロイドーシスなどが含まれます。
- ・ATTRv アミロイドーシス
- 肝臓で産生されるアミロイド一種であるトランスサイレチンが腎臓、心臓、神経など沈着するまれな遺伝性の疾患です。
- ・AL アミロイドーシス
- 心臓、腎臓、肝臓、脾臓、皮膚、神経、血管、腸、舌などにアミロイドが沈着するのが特徴です。多発性骨髄腫の患者さんで約10~15%の合併13)がみられることがあります。
- ・ATTRwt アミロイドーシス
- 肝臓で産生されるアミロイド一種であるトランスサイレチンが心臓や神経などに沈着する非遺伝性の疾患で、男性に多くみられます。
- ・AA アミロイドーシス
- 関節リウマチ、血管炎症候群、自己免疫疾患などの慢性炎症性疾患によって、二次的に起こるアミロイドーシスです。
13)p.11.日本循環器学会.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.
[https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kitaoka.pdf]
●【限局性アミロイドーシス】
限局性アミロイドーシスの代表的な疾患としてアルツハイマー病、プリオン病、脳アミロイドアンギオパチーなどがあります。