4. 心アミロイドーシスの
病型分類について
心アミロイドーシスの原因となるアミロイド病型としては、形質細胞に異常が起こり、免疫グロブリン軽鎖という異常なタンパク質が産生され、アミロイド線維を形成して沈着するALアミロイドーシスと、トランスサイレチンが沈着するATTR アミロイドーシスの2つが代表的な病型です(表1)。さらに、ATTR アミロイドーシスは、遺伝子異常に由来するATTRvアミロイドーシスと、非遺伝性で加齢に伴うATTRwtアミロイドーシスに大別されます(表1)。
心アミロイドーシスはこれらの病型によって治療法が異なるため、この原因を見つけることが重要となります。
表1< 心アミロイドーシスの病型と特徴 >
(鍋田 健.循環器ジャーナル. 2020;68(1):83より作成)
●【形質細胞とは】
形質細胞は、骨髄で作られる白血球の一種であるB リンパ球(B 細胞)が成熟することによってできる細胞です。正常な状態では、細菌やウイルスが体内に侵入すると、一部のB 細胞が形質細胞に変化します。形質細胞は細菌やウイルスを撃退する抗体を作り出し、感染や疾患の発症を阻止します。
●【免疫グロブリン軽鎖とは】
外来性物質(抗原)による体内への侵入に反応して産生されるものを抗体といいます。そして、その抗体の産生を引き起こした抗原に特異的に結合できるものを免疫グロブリンといいます。抗体は4本の鎖からなるY字型の作りで、それぞれのY字には同じ形の重鎖と軽鎖がそれぞれ2本ずつあります(図3)。この軽鎖はL 鎖とも呼ばれます。
●【トランスサイレチンとは】
トランスサイレチンは、アミロイドのもととなるタンパク質です。4 つ1 組で血液中に存在トランスサイレチンは、何らかの理由でバラバラになり、その後、ふたたび糸くずのような形に集まります。バラバラになる理由はまだわかっていませんが、その糸くずはさらに集まって、水や血液に溶けにくいかたまりに変わってしまいます。