3. 心不全の症状はどのようなものか
心臓が「静脈から血液をくみ出す役割」が弱っていることによる症状
この場合、心臓に戻る静脈や臓器に血液がうっ滞します(この状態を「うっ血」といいます)。
症状として、息切れや呼吸困難、水分が体内に溜まって足やすねがむくむなどの下半身のむくみ(浮腫)や体重増加、食思不振などが現れてきます。さらに、肺に水分が溜まると仰向けに寝るのが息苦しく、体を起こす姿勢をとるような状態(起坐呼吸) にもなり、症状が進むと発作性夜間呼吸困難になります(図4)。
図4< うっ血による症状 >
(伊東春樹(監).イラストでわかる心臓病.東京;法研:2017より作成)心臓が「血液を送り出す役割」が弱っていることによる症状
この場合、心臓(左心室) から全身の臓器へ血液を行き渡らせることが難しくなります。症状として、労作時の息切れ、動悸、倦怠感・疲れやすい、手足の冷感、体重減少、さらに血圧の低下、夜間頻尿注1)、意識障害(認知機能の低下) などが現れてきます(図5)。
注1):夜間の多尿は心不全の早期から認められる特徴的な症状です。心臓はポンプの働きをしていて、立っているときは身長分の高さまで血液を送っていますが、寝ているときはせいぜい20~30cmの高さしか血液を送らなくてよくなります。心臓が丈夫なうちは立位でも腎臓に十分な血液が流れ込みますが、心不全になると、腎臓の血流が少なくなり尿があまり作られません。一方で夜間寝た状態では、腎血流量が回復し尿量も増え、このことによって、昼間に生じた軽度のうっ血状態や浮腫が改善され心臓の負荷も軽減されています。
図5< 低心拍出による症状 >
(伊東春樹(監).イラストでわかる心臓病.東京;法研:2017より作成)
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