4. 心不全はどのように進行するかか
心不全の進行は、ステージAからDまでの4段階に分かれます(図6)。ステージAとBは、心不全は発症していないけれどもリスクのある段階です。ステージAは、高血圧、糖尿病などの動脈硬化性疾患を罹患した段階、ステージBは、虚血性心疾患などの心臓に疾患を抱えながらも心不全を発症していない段階を指します。ステージCとDは、心不全を発症した後の段階になります。
図6< 心不全の進行 >
(木田圭亮(編).ナースが知りたい心不全のキホン.大阪;メディカ出版:2019より作成)ステージAとBの期間では、リスクである病気をしっかりと管理・治療しておくことが大切です。とくにステージBの心不全症状が出る前のいわゆる「隠れ心不全」の段階での管理( 早期発見と早期治療) が極めて重要です。ステージCからの心不全が発症した後は、心不全の進行を抑制するために主治医からの適切な指導を守りましょう。
心不全は、悪くなったり、良くなったり入退院を繰り返しながら、徐々に進行していきます。心不全を悪化させる要因としては、水分や塩分の摂りすぎ、過度な運動、治療薬の中断、たばこ、ストレス、感染症などがあげられます(図7)。
図7< 心不全を悪化させる要因 >
(日本心不全学会.心不全手帳(2018年10月第2版).2018/倉敷地域心不全連携の会(監).地域の心不全手帳説明用 第3版. 岡山;倉敷地域心不全連携の会:2019より作成)
*:水分を取り過ぎると、全身の血液量が増えるため、心臓に負担がかかります。そのため、1日にとってよい水分量を医師に確認しておきましょう2)
2) p.29.倉敷地域心不全連携の会(監).地域の心不全手帳説明用 第3版. 岡山;倉敷地域心不全連携の会:2019.[https://www.kchnet.or.jp/hdc/cardiovascular/disease/treat/PDF/shinfuzentecho_blue_3.pdf]
このため、心不全を悪化させないためには、心不全治療薬の服用を中断しないこと、食生活に気をつけること、自己管理をしっかりと行うことなどが重要となります。